カラミ(鍰)とは

カラミとは、銅の製錬工程で副産物として生じる鉱滓、すなわちスラグのことを指します。漢字では「鍰」と書きます。

銅鉱石には、銅分のほかに鉄分、硫黄分、けい酸分など、さまざまな成分が含まれています。銅を取り出すためには、これらの成分を高温で溶かし、銅分を含む中間生成物と、それ以外の不要成分に分離する必要があります。このとき、鉄分やけい酸分などが溶け合って分離された副産物が、カラミです。

カラミは、金属銅そのものではありません。主に鉄分やけい酸分などを含む製錬副産物ですが、製錬当時の条件によっては、銅などの有価金属を少量含む場合もあります。そのため、カラミは単なる廃棄物ではなく、当時の製錬技術や操業の様子を知るうえで重要な手がかりとなります。

銅製錬の流れ

銅製錬は、一般的に次のような工程で行われます。

まず、採掘された銅鉱石を粉砕し、銅分を多く含む部分を選び出します。この工程を選鉱といい、ここで得られるものを銅精鉱と呼びます。

次に、銅精鉱にけい酸質の原料、石灰石、コークス、石炭などを加え、高温で溶融します。この製錬工程では、銅分を含む中間生成物である鈹、いわゆる「かわ」や「マット」と呼ばれるものが得られる一方、鉄分やけい酸分などはカラミとして分離されます。また、この過程で亜硫酸ガスも発生します。

さらに、得られた鈹を転炉に移し、酸素を吹き込んで酸化反応を進めることで、鉄分や硫黄分を取り除き、粗銅を得ます。粗銅は高い銅分を含みますが、そのままでは電線や銅材などに用いるには純度が十分ではありません。

そのため、粗銅はさらに精錬所に送られ、電解精製によって純度を高められます。こうして、純度99.9%以上の電気銅となり、さまざまな銅製品の原料として利用されます。

尾小屋製錬所におけるカラミ

尾小屋製錬所でも、銅鉱石の製錬過程においてカラミが生成されました。尾小屋鉱山で採掘された鉱石は、選鉱・製錬を経て銅分を取り出され、その過程で生じたカラミは、当時の製錬作業を物語る重要な痕跡として残されています。

尾小屋製錬所で生産された粗銅は、高い銅分を含むものでしたが、最終的な銅素材として利用するためには、さらに他地域の精錬所で電解精製を行う必要がありました。このように、尾小屋製錬所は、鉱石から銅を取り出す重要な中間工程を担っていたといえます。

カラミが伝えるもの

カラミは、銅を取り出したあとの副産物ですが、鉱山や製錬所の歴史を考えるうえでは、非常に重要な存在です。

そこには、どのような鉱石が使われ、どのような製錬方法がとられ、どの程度の技術で銅が取り出されていたのかという情報が残されています。現在、製錬所跡に見られるカラミは、当時の産業活動や地域の鉱山史を伝える貴重な資料でもあります。

尾小屋鉱山・尾小屋製錬所の歴史を知るうえで、カラミは単なる副産物ではなく、銅を生み出した現場の記憶を今に伝える存在といえるでしょう。


尾小屋鉱山と亀甲カラミ

かつて尾小屋の地には、国内有数の銅鉱山として知られた尾小屋鉱山があり、その周辺には粗銅を生産する製錬所が設けられていました。

大正期から昭和初期にかけて粗銅の生産量が増大するにつれ、製錬の過程で副産物として生じる鍰(カラミ)もまた大量に発生するようになりました。尾小屋では、このカラミを単なる廃棄物として扱うのではなく、有用な資源として活用し、これを原料とするカラミ煉瓦が製造されました。

カラミ煉瓦は、尾小屋に限らず国内各地の銅山でも見ることができますが、その多くは一般的な煉瓦と同様の四角柱形をしています。これに対し、尾小屋で製造されたカラミ煉瓦の多くは六角柱形という特徴的な姿をしており、その形状が亀の甲羅を思わせることから、地元では古くから**「亀甲カラミ」**の名で親しまれてきました。

この六角形のカラミ煉瓦は、尾小屋の鉱山活動が生み出した独自の文化的景観の一つです。製錬という重厚な産業の営みから生まれた副産物が、やがて街並みを形づくる素材となり、今日に至るまで尾小屋の風情を静かに伝え続けています。

現在も、亀甲カラミは尾小屋の各所に点在し、往時の鉱山町の面影を今に残しています。近年では、尾小屋鉱山資料館のスタッフや**「なつかしの尾小屋鉄道を守る会」**のボランティアの皆さまの協力により、草むらや土中に埋もれていたカラミ煉瓦の掘り起こしが進められています。

こうした地道な活動によって、尾小屋の歴史を物語る貴重な産業遺産が再び姿を現しつつあります。

亀甲カラミは、単なる煉瓦ではありません。銅を生み出した製錬の記憶、鉱山町として栄えた尾小屋の歴史、そして地域の人々がその面影を守り継ごうとする思いを宿した、尾小屋ならではのかけがえのない遺産です。



カラミの街保存会


私たちは、尾小屋鉱山跡に残る近代化産業遺産である、カラミ煉瓦でできた擁壁や建物などのカラミ群を始めとする遺構の保存と普及を図り、交流人口を増やすことで地域の活性 化に寄与することを目的として設立された特定非営利活動法人です。

■法 人 名

 特定非営利活動法人カラミの街保存会

■法人所在地

 石川県小松市大野町

■連 絡 先

ogoya.karami@gmail.com

ご利用時は上記アドレスを全て半角小文字に置き換えてご利用ください。

見学会の参加の場合はメール表題に「見学会_yyyy/mm/dd(日程)参加」とご記入くださると助かります。

その際、名字だけでも結構ですのでお名前、人数をご記入ください。

御礼

カラミの街保存会 主催

KARAMI STAGE「カラミの街に立つ」2025年10月5日 開催

このたびは、KARAMI STAGE「カラミの街に立つ」にご来場いただき、誠にありがとうございました。
当日は多くの皆様に尾小屋へ足をお運びいただき、カラミの街並みや亀甲カラミが残す風景、そして尾小屋の歴史に触れていただく機会となりましたこと、主催者一同、心より御礼申し上げます。
本催しを通じて、尾小屋の地に息づく産業遺産の価値と、カラミの街が持つ魅力を、改めて多くの方々と分かち合うことができました。
ご来場いただいた皆様、開催にご協力いただいた関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。
今後とも、カラミの街保存会の活動にご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。